腸内細菌による生体内「物質」変換術

腸内細菌による生体内「物質」変換術

腸内細菌による生体内「物質」変換術

思うに、お腹の中の「力」というのは、ほんとうに凄い。ニューギニア高地に住む種族(パプア族)は、みな筋骨隆々でたくましい体つきをしているという。ところが、彼らが常食としているものは、イモ類ばかり。獣肉や魚などのタンパク質はほとんど食していないことがわかっている。

にもかかわらず、彼らは疲れ知らずのバイタリティさと屈強な身体をもっている。栄養学の常識では、三大栄養素の一つであるタンパク質をとらないにもかかわらず、身体をつくり、かつ健康を維持し続けるということは、不可能とされているはず。

だが、彼らパプア族の身体には、必要な量のタンパク質がちゃんと賄われていたのだ。そのため、彼らが体につけたタンパク質は、一体どこから由来したものなのか、ということが、長い間ミステリーとされていたのだ。そして、しだいにそのメカニズムがわかってきた。

では、どうやって?実は、その秘密はお腹の中の「菌」にあった。パプア族の場合、口からタンパク質を摂っていたわけではないが、お腹の中の菌、つまり腸内細菌が宿主に必要なだけの「タンパク質」を与えていたのだ。でも、どのように?

専門家の説明によると、「食物と一緒にのみこまれている空気中の窒素が、腸内細菌によってタンパク質に合成され、これを利用していると推定されています」(光岡知足氏)とのこと。そして、この推定を裏付けるように、パプア族の糞便からは、クレブシェラやエンテロバクターなどの細菌が分離されたという。なんと、これらの菌は、空気中の窒素からタンパク質を合成する「空中窒素固定」という能力をもっていたのだ。

こうした窒素固定菌によってつくられる「菌体タンパク質」が腸内で消化吸収され、それが人間側の血となり肉となって、長い間、利用されてきた、というわけだ。他の種類の腸内細菌にしても、腸の中に残っている(腸が栄養を吸収した後の)食物のカスを食べて、それをアミノ酸などの有用な物質にリサイクルしてくれているのだ。

凄い! まるで魔法だ。これぞ、まさしく造化の妙! 物質変換の力、生命の奇跡!これこそ、「賢者の石」ならぬ、「賢者の菌」ではなかろうか?

それから、中国などでは食物をとらないでも、元気に働くことができるという人が、たまに取り上げられている。ちょっと前には、リンゴしか食べていないのに、普通の人よりも元気だという若い女性のことが取り上げられていた。なんでも、空気中に無尽蔵にある「気」(気功でいう氣のこと)を体内に取り入れ、それをエネルギーにしているのだとか・・・。

だが、こうした例も案外、空気中にそれこそ無尽蔵にある(酸素よりも多い)窒素ガスを効率よくタンパク質へと合成する、何らかの腸内細菌をもっている幸福な人たちなのかもしれない。そう、その昔、仙人がカスミを食べて生きていたという話もまた、その類なのかもしれないのだ。

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